女性が手でバツポーズ

YouTubeとは、Google社の運営する世界最大の動画共有サービスです。

Googleアカウントを持っていれば誰でも動画を投稿することができる手軽さから、毎日膨大な数の動画がアップされています。現代ではなくてはならないエンタメツールの1つだといえるでしょう。

しかし、なかには違法なアップロードや著作権違反の動画も多く見受けられます。

明らかに違法であるのに、多数の再生回数を稼いで広告収入を得ている動画を見かけると


「違法なことをして稼いでいるんじゃないの?」
「こういうの、アリなの?」


と、ついつい突っ込みたくなりますよね。


どこまでがセーフでどこからがアウトなのかがわかりづらく、モヤモヤとした気持ちになることもあるのではないでしょうか。

そこで今回はYouTubeの著作権の考え方と、違反したらどうなるのか、さらには著作権を侵害されたときの対処法をご紹介します。

著作権ってそもそも何?

著作権の本


漫画村などの違法アップロードが話題になった近年、「著作権」という言葉を耳にした機会もあったかもしれませんが、その実態はかなり複雑で、きちんと理解するのは意外と難しいものです。

 

簡単にいえば、著作権とは文章や絵画、音楽、動画など、自分の考えや気持ちを作品として表現したあらゆるものに発生する権利のことをいいます。


たとえば、3歳の子どもがいたずら書きしたものにも著作権があり、本人の許可なく勝手に使用することは著作権違反となるのです。

しかし、著作権違反は、基本的に「親告罪」として扱われています。親告罪というのは、著作者本人が「私の作品が勝手に使用されている」と訴えて、はじめて発生する罪です。

そのため、著作権を持つ人が「ご自由にお使いください」というスタンスであれば、本人に許可なく使用していたとしても罪にはなりません。

 

ただし、平成301230日に施行された法改正により、一部の著作権等侵害罪は、非親告罪となりました。非親告罪となるのは、以下の要件を満たすものです。

①対価を得る目的又は権利者の利益を害する目的があること
有償著作物等()について原作のまま譲渡・公衆送信又は複製を行うものであること
有償著作物等の提供・提示により得ることが見込まれる権利者の利益が不当に害されること
)有償で公衆に提供又は提示されている著作物等

(引用元:環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の概要(著作権法関係)

前述した違法アップデートですが、YouTubeも例外ではなく、過去には「銀魂」「NARUTO」などの超有名マンガのページをデジカメで撮影しアップしたという事件や、チケット入手困難な某アイドルグループのコンサートの模様を撮影しアップしたという事件がありました。

 

また、平成30年には、テレビのプロ野球中継をYouTubeでリアルタイム配信したとして、男性が逮捕された事件もあります。

現在YouTubeでは、訴訟に発展する前に火種をもみ消すため、強制的に動画を削除するようなシステムが充実してきています。

これには、著作権者の利益だけでなく、動画をアップする側の法律違反を未然に防ぐ意味もあるようです。それでは次の項目から、音楽やゲーム、テレビなど項目ごとに著作権の考え方を詳しく確認していきましょう。

音楽についての考え方

空と海に音符


YouTube
で音楽を投稿する場合、CDや有料の音楽配信サイトからダウンロードしたものをそのまま使用すると、著作権違反となります。

メジャーなレーベルの音楽作品は、YouTubeContentsIDというシステムを利用して著作物を管理している場合が多く、これらの音源を使用した場合は動画のアップと同時か、遅くとも数日中にYouTubeから何らかの警告が来ます。

ContentsIDというのは、あらかじめYouTubeのデータベースに自分の作品を登録しておくと、ほかのユーザーから動画がアップされた際にコンピューターが自動でスキャンして、同じコンテンツが発見されれば申し立てが行われるというシステムです。

このため、動画の公開・非公開にかかわらず、当該音源を使用した場合、違反としてカウントされ、ペナルティを受ける可能性があるのです。

ペナルティとしては、収益化ができなくなる、音声がミュートとなるなどの軽いものから、動画の削除などの重いものまであります。なお、このペナルティは著作権所持者によって決定されるシステムとなっています。

ちなみにYouTubeでは、ユーザーが誤ってポリシーに違反してしまった可能性があるとして、1度目の違反の際は事前警告という制度を取っています。しかし、3度積み重なるとチャンネルが永久削除されるなど致命的なペナルティを受けることになるため、注意しましょう。チャンネルが停止された場合、ほかのYouTubeアカウントへのアクセスや、新しいアカウントの取得を禁止される場合もあります。

なお、これは「音源をそのまま」使用した場合の話で、流行の「歌ってみた」「演奏してみた」といった二次的な使用は問題ないとされています。

YouTubeは、これらの二次利用を保護するため、日本の音楽の著作権管理団体(JASRAC、イーライセンス、JRC等)にあらかじめ著作権料を支払い、許可を得ています。日本国内の音楽著作権のほとんどはこれらの団体が管理していますので、「演奏してみた」「歌ってみた」といった動画のほとんどは、著作権違反には該当しません。

動画投稿において、どうしても使いたい音楽がある場合は、著作権違反にならによう自分で演奏するか、誰かに演奏してもらうとよいでしょう。

また、これらの動画に広告をつけ、収益化する場合は「商用利用」となる可能性があります。

この場合、多くは「収益を分配」という形で著作権所有者に使用料を支払うこととなります。ContentsIDのシステムによって自動的に行われる場合がほとんどですので、動画配信者側はとくに手続きをする必要はありません。

ゲーム画面の著作権はどうなっているの? 

コントローラーとゲーム画面


YouTube
でも人気の高いゲームの実況動画ですが、これも法律的には著作権に抵触する行為です。

しかし、ゲームの実況動画はゲーム会社側にもメリットがあり、見て見ぬふりをしているという現状があります。なぜならゲームの実況動画を見た人は、自分もそのゲームをしてみたいと思うことにつながりやすいため、ゲーム会社側からすると無料の広告塔が何本も立っている状態となるからです。


そのため、「Minecraft」や「任天堂」のすべてのゲームなど、会社側から動画投稿や収益化の許可が出ているものもあります。動画投稿するにあたって、著作権違反にならないか気になる場合は、会社に連絡を取ってみましょう。

テレビやDVDを上げたらダメ?

動画アップロード


映画やドラマのDVDなど、販売されているメディアをそのままアップすることは固く禁止されています。

非常に悪質な行為で、発覚した段階でチャンネル所有者には厳しいペナルティが科せられます。

しかし、これらの犯罪行為を行う人がいるのは、それを見る人が多いからです。有料のDVDを無料で見ることができるのは魅力的ですが、見ることで犯罪に荷担しているという意識を持ちましょう。違法性のある動画には近づかないことが大切です。

では、テレビ番組をアップする行為はどうでしょうか。

これももちろん、違法な行為です。テレビ番組は無料で配信されていますが、番組の著作権は各テレビ局が持っています。自分のチャンネルで勝手に使用してはいけません。

現在、テレビ局側も専任のアルバイトを雇うなどして厳しく監視しているようですが、数多くのチャンネルをすべてリサーチすることは困難で、場合によっては何ヶ月も放置される場合があります。しかし、公式チャンネル以外の動画はすべて違法ですので、DVDなどと同様、近寄らない方が無難です。

また、他人のYouTube動画を一部分だけ使用するような場合も著作権違反となります。他人の動画を使用したい場合は、相手にメッセージを送るなどして許可を取りましょう。人間性、モラルの問題として無断盗用はしないように心がけたいものです。

自分の動画が使用されたら?

 

 

YouTubeヘルプセンター

 

では逆に、自分の動画が他人のチャンネルに使用されているのを見つけた場合は、どうすればよいのでしょうか。

使われ方が、自分にとってメリットが高く、問題ないのであればそのまま放置して差し支えありません。

ですが、自分の意図とは違う使われ方をされており、不愉快な思いをする場合や、自分の人気動画が盗用されてそのままアップされた場合は、即刻YouTubeに報告し、削除を依頼しましょう。

ちなみに著作権の侵害を理由として他人の動画の削除依頼をできるのは、著作権を持つ本人と、その正式な代理人のみとなります。

削除依頼の手順は以下の通りです。

1.まずYouTubeの「ヘルプセンター」にアクセスします。
https://support.google.com/youtube/
2.
ヘルプセンターのホーム画面にあるメニューの中から「ポリシー、セキュリティ、著作権」をクリックし、さらに「著作権と著作権管理」をクリックします。
3.
一覧のメニューの中から「著作権を侵害したコンテンツに対する削除通知の送信」を選択し、内容に目を通して「著作権侵害に関する申し立ての送信」を押します。
4.
次の画面で出てくる内容に順に答えて、送信します。

最後に

YouTubeでは、著作権違反に関して自動ソフトウェアの使用や、ユーザーからの報告による違反通知などいろいろな対策を講じています。

無視すれば、アカウントの停止や裁判沙汰など大きな問題になることもあり得るでしょう。

今後もYouTubeというエンタメを存続させるためには、一人一人がルールを把握し規定の中で楽しむことを心がけることが大切ではないでしょうか。

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