スマホとセキュリティ

LINEは、2019年時点で世界の月間アクティヴユーザーが約2億人という、利用者の非常に多いSNSです。

しかし、2014年にLINEなりすまし事件が起き、PINコードの導入などの対策が打たれたものの、今も新手の手口が後を絶ちません。

そこで改めて2014年のLINEなりすましが、どのような事件であったかを振り返るとともに、詐欺に遭わないための対処法を確認しましょう。

「自分には関係ない」と面倒くさがっていては、大切な友人、知人に迷惑をかけかねません。

家族や友人、知人との円滑で快適なSNS生活のため、チェックしていきましょう。

LINEなりすまし事件とは

cyber-crimeのテキスト
2014年6月上旬、初めてLINEのなりすまし事件が発覚し、同年10月下旬までの間に、東京都内で368件、被害総額約2800万円の被害が確認されました。

莫大な被害額ですが、東京都内での被害が報告されている案件のみであり、全国規模で見れば、実際の被害はもっと大きなものであったと思われます。

手口の内容は、他人のLINEのアカウントを乗っ取り、友人や知人になりすまし、換金性の高いプリペイドカードを購入させるというものでした。

    犯人の具体的な手順
    ・突然、友人や知人のふりをした犯人が「今、何していますか?忙しいですか?手伝ってもらってもいいですか?」などとLINEでメッセージを送ってきます。

    ・相手に既読が付いたり返信が来たら、「近くのコンビニエンスストアでWebMoney(もしくはiTunesやbitcashなど)のプリペイドカードを買うのを手伝ってもらえますか?」と送って来ます。相手が「それ何?」などという返信をすると、「直接コンビニへ行けば店員さんが教えてくれると思います。」と、コンビニへ行くよう促すメッセージや、「いま写真をあなたに送っています。この写真のようなカードです」と、プリペイドカードの写真を送付してくるケースもあったようです。

    ・さらに「1万円のカードを1枚(金額は事例によってさまざま)買ってください。」「買った後に番号の写真を送ってください」と続きます。
    また、「よろしければすぐ買っていただきたいです。」や「今は行けないので、明日お金は渡します。急用です。」、「今はどうしてもやらないといけない用事があるので、先にあなたに買っておいてもらっていいですか。」など、困っている様子を装って良心に付け込み、急がせることで判断力を狂わせ、明日お金を渡すからと安心させて、相手の心理を揺さぶります。

    ・相手がプリペイドカードを買ったら、その番号の入った画像をアップさせます。

    ・犯人は、それが利用可能なプリペイドカードかどうかを調べ、乗っ取ったアカウントを削除して終了。音信不通になり、お金は戻って来ません。

    よく考えると、友人・知人の口調とは違う、どこかたどたどしい日本語、依頼内容がおかしい、など不審な点も多くあります。

    しかしスマートフォンからの電話番号発信による認証が必要なLINEは、その当時、本人性が非常に高いと思われていたため、多くの被害が出てしまいました。

    中には、80万円もの被害に遭った女性もいたようです。

    他人に騙され、数万円単位のお金が消えるのも悔しいですが、大切な友人が自分のためにと思ってしてくれたことが、詐欺被害につながり、大事なお金を騙し取られただけでなく、警察への被害届などの手続きに時間や労力をかけてしまうのも辛いですよね。

    お金の被害に比べればマシかもしれませんが、乗っ取られたアカウントが犯人に勝手に削除されるため、友達リストや今までのトーク、画像やスタンプなども失われるという損害も痛々しく感じるはずです。

    たくさんの友人・知人に乗っ取られた旨の説明をし、再登録してもらうのも大変な手間になるでしょう。

    犯人はどのようにして、アカウントを乗っ取ることができたのでしょうか?

    一般的に、複数のネットサービスでメールアドレスやID、パスワードを使いまわしている人は多く見られます。

    このことから、他のサービスで流出した個人データを使い、まずはパソコン版のLINEでログインできるかどうかを確認し、そこでログインできたら、次にスマートフォンからログインし、本人になりすましてメッセージを送るという手口が使われたと考えられています。

    またパスワードを自分の生年月日や名前などにしていると、簡単に特定されてしまいます。

    このLINEなりすまし事件は2014年6月4日に発覚しましたが、LINEは翌7月17日にPINコードの導入を開始、より本人確認を強化しました。さらに2016年2月にはPINコードに代えて2段階認証を導入、セキュリティの強化を図っています。

    LINEなりすまし対処法

    アカウントが乗っ取られたら

    もし、友人・知人のアカウントが乗っ取られているかもしれないと思ったら、電話やメール、他のSNSのメッセージなどで確認をとりましょう。

    LINEの機能を使ってしまうと犯人にバレてしまい、パスワードなどを書き換えられてしまう危険があるので、LINEとは別の方法を使うようにしましょう。

    とはいえ、最近は趣味の集まりや同僚であってもLINEのみが連絡手段になっているケースも多いと思います。

    他の連絡方法が不明の場合、第三者であれば知らない内容で、かつ個人情報流出にはあたらない質問をしてみましょう。

    もし自分のアカウントが乗っ取られていることが分かったら、もしくはその可能性があると思ったら、まずはLINEを開いてみましょう。

    もしとくに不審なこともなくログインできたら、【設定】→【アカウント】→【ログイン中の端末】をタップします。

    そこで覚えのない端末が表示された場合、【ログアウト】をタップし、パスワードを変更しましょう。これでひとまずは、乗っ取られる可能性は回避できます。

    LINEにログインできない場合は、第三者によってすでにパスワードが変更されてしまっている可能性が高くなります。

    そうなるとアプリから連絡や通報することもできなくなります。その場合、Webブラウザから、LINEの問題報告のフォームにアクセスします。

    ここでアカウントの凍結や削除をお願いすることになります。

    LINE問い合わせ画面

     

    まず自分が使っているスマホなどの環境を選びます。サービスは「LINE」、カテゴリは「アカウント・登録情報」、詳細は「自分のアカウントが盗まれた」を選びます。

    すると「アカウントが乗っ取られたと判断した理由や経緯」を聞かれますので、いずかを選んで送信します。

    この処理を行い、確認のためのやり取りをメールで行うと、アカウントの削除が可能です。

    引き続きLINEを使用する場合は、さらに「アカウントの引き継ぎ」を申請することで、新たなアカウントが作成でき、購入したスタンプなども含めて引き継ぐことができます。

    また、乗っ取りした犯人がパスワードを書き換えておらず、今まさに使っている最中であるという可能性があります。

    その場合、LINEを開いた時に「利用することができません」というメッセージが表示されます。

    説明を読むと「他の端末で同じアカウントを利用したため、この端末に保存された情報は、すべて削除されます。」と書かれています。

    これは、LINEは複数の端末から同時にアクセスすることを禁じており、後からアクセスした端末の保存情報を消すという仕組みになっているからです。

    ここで「確認」ボタンをタップすると、実際にすべてのデータが消えてしまいます。消したところで乗っ取られたアカウントが戻ってくるわけでもありませんので、押してしまうのはおすすめできません。

    アプリを閉じて、先ほど説明した問題報告のフォームから通報を行いましょう。

    なりすまし対処法

    なりすましの被害においては、乗っ取られる前の備えが大切です。LINEにおけるなりすましの対処法は、パスワードとログイン許可の設定です。ひとつずつ確認していきましょう。

    【パスワードについて】
    LINEの公式ヘルプに、以下のような「より安全なパスワードを設定するには?」が記載されています。

    LINEヘルプセンター画面

    独自のルールを決めることで、覚えやすく推測されにくいパスワードが設定できます。

    独自ルール設定の例
    ・「英数字4文字」と「サービス名の頭2文字」と「記号」
    ・「サービス名の後ろ2文字」と「記号」と「パスワード設定日」
    ・「記号」と「独自の文字列」と「記号」と「英数字4文字」

    また、設定されたパスワードが本当に推測されにくいパスワードになっているのか、以下を確認してください。

    推測されにくいパスワードの特徴
    ・英字、数字、記号が混在している
    ・小文字、大文字が混在している
    ・規則性のある文字列、一般的な単語が避けられている
    ・電話番号⋅生年月日、名前など他人が想像しやすいものが避けられている

    なお、パスワードは複数のインターネットサービスで使いまわさないようにしてください。インターネットサービスごとに別々のパスワードを設定し、より安全に管理してください。

    2014年のLINEなりすまし事件は、他のインターネットサービスの流出した情報を基礎にしていると言われています。パスワードの使いまわしはやめて、上記のことを踏まえ、定期的にパスワードの変更を行いましょう。

    LINEの画面から、【設定】→【アカウント】→【パスワード】の順に進み、新しいパスワードを2回入力すると変更完了です。

    なおメールアドレスについては、Gmailなどではサブメールを作ることができます。管理が楽になりますので、サブメールのアドレスを登録に利用することもおすすめです。

    【ログイン許可設定について】

    ログイン許可の設定がオフになっていると、パソコンやタブレット版のLINEやLINEの各種Webサービスでのログインできなくなります。

    2014年に起きたLINEなりすまし事件では、犯人はまずパソコン版のLINEからログインを試みたとされています。パソコンからもLINEを使う人の場合でも、普段はオフにしておいて、使う時のみレ点を入れたほうが安全です。

    【設定】→【アカウント】→【ログイン許可】で設定することができます。

    現在は、パソコンなどでログインすると、その都度メールで通知が届きます。ログインに失敗しても通知が届きます。心当たりのないログイン通知のメールが届いた場合は、至急、パスワードを変更しましょう。

    併せて設定の「プライバシー管理」にある「IDによる友達追加を許可」のレ点を外してみるとよいでしょう。

    普段は外しておいて、直接面識ある人にはQRコードを教えるか、ふるふる機能を利用するか、IDを教えた相手が探す時のみ有効にしましょう。

    迷惑メールのような内容のメッセージが届くのを防ぐことができます。

    まとめ

    2015年、LINEは友人・知人になりすました相手から電話番号やPINコードを聞き出す新たな手口に対する注意喚起を行いました。

    他にも、本当に「振り込め詐欺のスマホ版」と言えるような内容のメッセージも確認されています。

    友達になりすまし「親父が交通事故で入院した。至急お金が必要だから貸してくれないかな」と口座番号まで送信するといった内容です。

    また、「パスワードの再設定」を求めるメッセージを送り、今使っているパスワードを入力させるという手口もあるようです。

    防災の備えと同様に、こうしたサイバー犯罪に対する備えも必要な世の中です。もう大丈夫だろうと思っても、新たな手口で、あなたを襲いかかろうとしているかもしれません。

    今すぐ、最低限の対処法を設定することをおすすめします。

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