ネット炎上を放置するのはリスクが大きく、特定作業によって個人情報を晒される危険性も高いです。本記事では、事実関係の確認や早期の見解発表、アカウントの処理など、炎上を収束させるために知っておきたいことを説明しています。
ネット炎上とは、過激な言動や不祥事の発覚などにより、批判や悪評が急速に広まる状況を指します。
インターネットの普及にともない、パソコンやスマートフォンで、誰でも気軽に発言できるようになりました。一方で、不適切な言動や写真の投稿により、炎上する場面も増えています。
SNSの利用者が増加するにつれ、この傾向は一層強まりました。特に炎上の場となりやすいのが、ツイッターやフェイスブックなど、共有機能に優れたSNSです。
これらのSNSでは、リツイートやシェアなどにより、ユーザーの投稿を簡単に共有することができます。この共有機能による拡散の威力はすさまじく、本人の予想以上に、投稿が拡散してしまうケースがあるのです。
SNSでの炎上が、まとめサイトやネットニュースに掲載されることもあるため、早急な対処が必要です。
目次
1.炎上を放置するリスク
自分の発言が注目を浴び、誹謗中傷を受けたとしても、数日から1ヶ月程度で収束することが多いです。そのため、炎上したとしても何も対応せず、事態が落ち着くまで待つという方法もあります。
しかし、炎上を放置するということは、相応のリスクを承知しておかなければなりません。
一度インターネット上に出回った情報は、何もしなければ、いつまでも残り続けてしまうのが問題です。
炎上によって広められた情報は、イメージダウンにつながりかねないような、虚偽の情報が含まれていることがあります。もし、何もせず放置しておけば、それらの情報が、真実だと見なされてしまうかもしれません。
ネガティブな情報が出回ったとしても、主張が信頼に足ると見なされ、反論に筋が通っていれば、悪いイメージをかき消すことができます。
後々、虚偽のネガティブな情報だけ、インターネット上に残るのは避けたいですよね。
不利な立場にならないためにも、よほど軽微な内容でなければ、炎上を放置せず、真摯に対応した方が良いでしょう。
2.恐ろしい「特定」作業とは
匿名での発言であれば、炎上しても問題ないと感じるかもしれません。
たとえば、ツイッターは匿名で発言できるため、何をいっても大丈夫と考える人もいます。
しかし、いくら匿名であっても、身元が晒されてしまうケースがあることを知っておきましょう。
というのも、世の中には、炎上の原因となった人物の「特定」作業に、注力したがる人が存在するからです。
そのような人たちは、SNSの過去の投稿をさかのぼり、文章や写真のわずかな内容から、個人情報を探し出します。
その調査能力は、警察の特捜班に匹敵するといわれるほどです。
特定された名前や住所を、複数のWebサイトや掲示板に書き込まれ、痕跡を消すことが難しくなるケースもあります。
自宅に直接訪問され、嫌がらせを受けることもあるため、個人情報を知られるのは深刻な問題です。
また、勤務先を特定されると、電凸(でんとつ)という行為に発展することもあります。
電凸とは、電話での突撃取材という意味です。
企業としての見解を確認するために行われ、多くの場合で、インターネット上に内容を公開されます。
その対応次第では、企業自体のイメージダウンにもつながりかねません。
炎上を鎮火させるためにも、早急に適切な対応をとる必要があります。
3.事実関係の確認
炎上を最小限に留めるためには、最初の対応が肝心です。まずは、その火種となった情報が、事実であるかを確認しましょう。
人から人へと伝わるうちに、憶測や勘違いが混ざり、炎上の理由が変貌するケースもあります。
何が原因で炎上が起こっているのか、正確に見極めることが大切です。
いつ、誰が、どこで、どのような言動をしたのか、具体的なところまで把握しておきましょう。
既に多くの批判が寄せられているなら、対応策を誤るわけにはいきません。
企業の対応に矛盾が生まれないよう、事実関係を確認したうえで、慎重に対応する必要があります。
4.早期の見解発表
事実関係の把握ができたら、炎上が拡大する前に、なるべく迅速に見解を発表しましょう。
情報が拡大すればするほど、憶測や勘違いが加わり、事態の収拾が難しくなります。
しかし、ここで対応策を誤れば、新たな火種を投入してしまうことになりかねません。
憶測を書き込まれる前に、適切な対応をとることが重要です。食品会社の例を挙げてみましょう。
ある食品を購入した人が、食品の中に虫が混入していたと、SNSで訴えたとします。そのときに写真が掲載されていれば、有志による検証作業が始まるでしょう。
写真ですぐに虚偽の情報だと分かるなら、その投稿者が叩かれるだけで終わるのですが、一見真実か分からない場合は要注意です。
その書き込みの真偽で議論が行われた末、食品の製造元の見解を知りたいという流れになります。
ここで、企業側が何の根拠も示さず、単純に否定するだけでは、事態を収めるのは難しいでしょう。
たとえ、虫が混入したという事実が嘘であっても、対応が遅すぎたり、表現にあいまいな点があったりすれば、静観していた人でさえ、不信感を抱くようになってしまいます。
必要なのは、事実関係を元にした、早期の見解発表です。
写真を否定できる根拠を示し、明確に説明しなければなりません。とはいえ、短い期間内で、十分な調査をするのは難しい場合もあります。
まずは、把握できている事実関係と、そこから類推できることを伝えるだけに留めておきましょう。
漠然とした見解を述べるのは、避けた方が賢明です。具体的には、以下の点について説明します。
・現在把握している事実関係
・今後の対応策
・対応策を実施する時期
・対応の結果を発表する時期
これらの点を伝えることで、炎上に興味を持っていた人たちが、現時点での状況を正確に把握できるようになります。情報が不足していると、憶測が生まれやすいものです。
投稿された写真に関して、誹謗中傷を受けたとしても、やみくもに反発せず、誠実に対応しましょう。それらの対応次第では、企業に対する追及が弱まる可能性もあります。
ただし、調査が完了していないうちに、企業側に非がないと明言するのは避けてください。
企業側の過失である可能性が、限りなくゼロに近いとしても、理由を説明できなければ、言い逃れと見なされてしまうこともあります。
また、虚偽の情報が出回っていたとしても、世間を騒がせてしまったという意味で、道義的・社会的な謝罪をするのがおすすめです。
法的な責任を認めるわけではないので、ためらわずに行いましょう。もし、企業側に非があると分かった場合は、再発防止策を早めに提示することが重要です。
詳細な内容は後日でも構いません。発表が遅れるよりは、早めに再発防止策を示した方が、世間からの理解を得やすくなります。
炎上はツイッターが発端となるケースが多いですが、企業側の見解をツイッターで行うのは避けましょう。
プレスリリースしたうえで、自社のWebサイトに掲載するのが適切です。
というのも、ツイッターは文字数に制限があり、詳細な説明を行いづらいからです。また、日数が経てば、投稿が見づらくなってしまうデメリットもあります。
ツイッターを使うのであれば、見解を発表したことが分かるツイートを行い、プレスリリースのURLに誘導しましょう。
5.アカウントの処理
企業の公式アカウントの発言が原因で炎上した場合は、安易にアカウントを削除してはいけません。
原因となった投稿を削除しても、既にスクリーンショットで保存され、ニュースサイトに掲載されているケースもあります。
削除しただけでは炎上は収まらないうえ、やましいことがあると見なされ、さらなる批判を浴びてしまいます。
事実関係を確認し、現時点で分かっていることのみ発信することが重要です。真摯に対応していると判断されるように、対応策も提示しておきましょう。
一方で、個人アカウントの場合は、投稿だけでなく、アカウント自体も、早急に削除する必要があります。
炎上の元となったSNSだけでなく、ツイッターやフェイスブック、ブログなど、すべての情報を削除するのが望ましいです。
アカウントを残したまま、下手に反論を行うと、さらに炎上が加速するリスクも生じます。
そうなると、過去の発言や他のSNSでの書き込みまで捜索され、個人情報を晒される危険性が高まるのです。
炎上によってインターネット上に晒された個人情報を、完全に消し去ることは容易ではありません。今後の人生に悪影響を与えないためにも、早急に削除することをおすすめします。
削除をする場合は念のため、炎上の元となった書き込みを、すべて記録しておきましょう。
印刷やPDFなど、どのような形でも構いません。時間との勝負となるため、保存ができたら、早めに削除に踏み切ることが大切です。
6.まとめ
個人が炎上に巻き込まれた場合は、自分に関連する情報をすべて消去し、インターネットの世界から姿を消すのが得策です。
しかし、企業の場合は姿を消すのは難しいため、真摯に対応することが、収束への近道といえます。
根拠のない誹謗中傷を受けたら、反発したくなる気持ちも生まれるでしょう。
とはいえ、感情的に反論したり、下手な言い訳をしたりすれば、さらなる反発の原因となります。
批判に対応する必要があるなら、常に冷静さを保ちつつ、対処することを心がけてください。